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コープさっぽろ流DX、4つのステップ大解剖

コープさっぽろにてDX戦略を推進している長谷川CIO就任3年を振り返り、コープさっぽろの魅力やDX推進の取り組み内容、求める人材についてお伝えしている本連載。2回目はデジタル推進本部の方針、各フェーズのプロジェクト内容やその振り返り、今後推進して行く方向性について、採用広報担当が聞きました!


■最新のテクノロジーで課題を解決

ー コープさっぽろのデジタル推進本部では、どのような方針でDXを進めているのでしょうか?

「リアルビジネスを最新のインターネットテクノロジーで解決する」という方針で進めています。
デジタル推進部ではIT機器のアップデートを頻繁に行うんですが、その目的は、セキュリティを最高の状態にしたいことと、何より最新のテクノロジーを使って仕事ができる環境を提供したいからです。
古いOSだと最新のフレームワークが使用できないとか、そんな環境で仕事したくないじゃないですか。例えば、オンライン会議を始めたいのに、PCが古すぎて使えません。とかね。だから、最新のITを導入することが大事。

また、我々が目指していることは「データ統合を実現し、スピーディに最新の技術を活用することで生産性を上げ、組合員さんに還元できる仕組みを作ること」です。
これを実現するために、以下の4つのSTEPを踏んでDXに取り組んできました。
ここからはそのSTEPについて説明していきます。

■STEP1:DXも建物と同様、土台であるインフラ整備から

まず、STEP1はデジタルを推進する上で土台になる「インフラを整備」することです。例えば「AWS環境へのシステム移行」。2020年から、部門一丸となって取り組んできました。
コープさっぽろのレガシーシステムであるオンプレミス環境下で、運用の手間や時間を要するなどさまざまな課題があり、それの全てを解決するために採用したのがAWSであり、実行したのが「AWS環境へのシステム移行」プロジェクトだったんですね。

ー 運用が大変な状態だったんですね。移行にあたって苦労されたことは何ですか?
 
このプロジェクトで苦労したことは、AWSへ移行する前段階の事前調査でした。
当時のサーバーは約700台、システムは200超と膨大な量があり、それを特定して一覧化することに時間がかかりました。中には各事業部の職員も把握していないシステムも多数残っていたなぁ。

システムは家を建てる時と同じで、まずは土台であるインフラの工事から取りかかることが大事なんですよ。多くの企業はいきなりお客様還元のSTEP4に注視してしまい土台を作らない。結果、コストばかりかかる仕組みを構築してしまう。
順番を間違えると、それを立て直すのにすごいお金や時間がかかるんですよね。なので、STEP1の土台から丁寧に取り組むことは、とても重要なんですよ。

また、面白いことをしたなと自負していることは、AWSクラウドの認知向上に貢献した3人を「AWS Samurai」に任命したこと。その3人が先陣を切って取り組んでくれたので頼もしかったですね。

このような取り組みにより、STEP1は無事完了しました。

■STEP2:Slack導入によりコミュニケーションの活性化と業務効率化が進む

次に取り組んだのが、コミュニケーションインフラの整備です。2019年12月にSlackを導入し、2021年1月からはコープ内部職員の連絡ツールを完全にSlackのみとしました。
「インフラを整備した次は業務アプリケーションの改善でしょ」と思う方が多いと思いますが、それは間違い。普段の業務は職員同士のコミュニケーションを中心としてますよね?「コミュニケーションと業務アプリケーションは密接な関係」であるはずです。

コミュニケーションがオンライン上で完結するように業務を再構築し、それを自動化する」。具体的には、「コミュニケーションがGoogleWorkspaceとSlackで完結できるように業務を再構築し、システムで自動化する」という考え方により、STEP2としてコミュニケーションインフラ整備を進めました。

ー なるほど、コミニュケーションを大事にして、業務の進め方自体を変える核としてSlack普及に力を入れたということなんですね!

そうそう。これにより、組織を超えたコラボが実現したり、困ったこともすぐ解決できたり、お互いに助け合う習慣が生まれたりと、職員間のコミュニケーションがスムーズになりました。
「尋ねる相手が分からない質問は、今までは店長、本部など複数人に順番に聞く必要があったが、Slackでは皆が見れるチャンネルに投稿すれば解決するので、かなり時間短縮になった」という嬉しい職員の声もありました。同時に、情報共有文化のきっかけにもなったなと感じています。

嬉しいことに、なんと2022年5月に、コープさっぽろのSlack の定着・活性化を促進する取り組みが評価され、Slackが開催している「 Slack 活用アワード」を受賞したんですよ!その時は組織内全員で喜びましたねぇ。

ー DXの取り組みが外部から評価されて、職員の方も喜んでリアクションしてくれるって本当に嬉しいですよね

■STEP3:SaaSの導入によりITの民主化を進める

続いて、アプリケーションインフラの整備に着手しました。これは簡単に言うと、SaaSの導入ですね。SaaSはITの知識がなくても使えちゃう便利なものなので、例えばバックオフィス系だと絶対にSaaSがいい。作ってる場合じゃないよ。
SaaSが組織内で普及できれば、前回も話した「ITの民主化」の推進スピードも上がるからね。

例えば、人事系のSaaSは、デジタル推進本部が関与せずに人事部の職員たちで活用できているんです。「SaaSはデジタル推進本部に頼むものではない」という流れが多少できていますね。
デジタル推進本部は、本当に難しいテクノロジーだけに取り組んだり、全体の整合性をとることだけに注力するなど、そういった役割でいたいですね。
我々は「適切なSaaSがなければ、ノンプログラミングでのシステム導入を優先し、それでも業務要件に合わないものがあれば、スクラッチ開発」という順番で取り組んでいます。

以上のようなSTEPを踏んでいき、本来DXで実現すべきSTEP4のフェーズに移ってきたところです。

■STEP4:本質的な業務改善を行うためにアプリケーションを整備し、ITを民主化する

今後STEP4が中心になっていくなかで、私が気をつけていることがあってね。それは全自動化できるシステム開発に主体的に取り組もうということです。

例えば、宅配事業の料金が残高不足などで口座から引き落としができなかった場合に、払込用紙を送付する業務プロセスについて。
この場合、今までは、レガシーシステムが膨大だったので、振り込み用紙を印刷するのにデータ統合の業務が多かったんですよ。業務が多いので、事業部から「組合員さんの番号と金額を、一気に紐付けられるシステムを開発してほしい」という要望がデジタル推進本部にくるんです。他部署のそうした要望に応えてすぐ開発しちゃいそうになるんですが、本当にやりたいことは、業務自体をなくして全自動化できないかということ。
「引き落としできていない」というデータが元々の売掛基幹システムにあるので、名前と金額、住所も結合し、郵送も自動的に完了できる仕組みを整えられれば、本質的な課題解決になります。

頼まれて開発しているだけの仕事じゃダメなんだよね。業務全体を把握して、どんなシステムが必要なのか、主体的に考えて取り組んでいかないといけない。

ー 開発要望の言葉の先にあるものをコミニュケーションしながら汲み取るんですね。難易度は高いですが、やりがいがすごくありそうです。

今後人手不足が課題になってくる中で、人がもっと生産性のある仕事をするために、システムがその他の業務を全部担ってくれることが理想だと思っているので、2024年からは、そういった本質的な開発に主体的に取り組めるよう推進していきたいですね。

また、ITやアプリケーション活用はデジタル推進本部だけの持ち物ではなく、ITを皆が利活用できるようになっている状態を作りたいと思っています。各部の職員が「業務をこう変えたい」「新しい取り組みをしたい」と思った時に実現できるように、ITの知識を身につけられる仕組みづくりやITの民主化も、今後進めていきます。

■成果の可視化:システムの売上貢献比率が3年で20%増

ー この3年間、着実にDXは進んできたんですね!こうした取り組みの成果って、定量で出ていたりするんでしょうか?

当組合における全システムの売上貢献比率が上がったんですよ。
これまた嘘みたいな面白い数字が出ていてね。2020年度には貢献度が10%だったのですが、21年度には19%、22年度には30%に上がりました。要するに、この3年間で成果は出ており、コストも無駄にしていないということ。
もちろん全て成功したわけではなく、中には思ったことができなかったこともありますよ。例えばデータの民主化をやりたいと思ったけど、まだ道半ば。でも、貢献度の数字を見るとデジタル推進本部はすごい貢献してるよね!(笑)23年度は貢献度40%を目指して取り組んでいます。

24年から始まる新プロジェクトもお話したいのですが、その話は次回の3回目にしましょう!

ー はい!進化のプロセスを聞いてワクワクします。次回が楽しみです!

■最後に

CIOの長谷川さんへのインタビュー第2弾でした!
デジタル推進本部は、DXにより生産性の向上を実現し、組合員さん、ひいては北海道の社会貢献に繋がるよう取り組んでおり、2024年も新しいプロジェクトの取り組みを始める予定です。

次回は、長谷川CIO注目の新プロジェクト、”ITの民主化”プロジェクトなどを詳しく伺います!お楽しみに。

コープさっぽろでは、一緒にDXを推進してくれる仲間をいつでもお待ちしています!  /

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