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DXに対応可能なプラットフォームの構築を目指して。「AWS移行」を加速させるコープさっぽろ流の秘訣とは?

コープさっぽろでは、DX化の大きな柱として「AWS環境へのシステム移行」を掲げ、デジタル推進本部一丸となって取り組んできました。プロジェクト開始から丸2年が経過し、AWS移行は次のフェーズに入りつつあります。

今回は、コープさっぽろのプラットフォーム構築や運用を担う、デジタル推進本部システム部 インフラチームリーダーの西尾真人さんに、AWS移行を進める中での課題ややりがい、そして今後の展望などを伺いました。

DX化の足枷になっていた課題を解消するために、100%AWS環境への移行を決定

ー コープさっぽろとして、「AWS移行」はどのようなプロジェクトだったのでしょうか。

西尾:もともとコープさっぽろは、自社のデータセンターでサーバー群を運用する、オンプレミス環境下にありました。

しかし、不確定要素が多い今の時代、より柔軟性の高い「クラウドコンピューティング」への移行は必要不可欠です。そこで、世の中の変化にフレキシブルに、かつ素早く対応できるプラットフォームとしてAWSを選び、2020年から100%AWS環境への移行に取り組んでいます。

ー オンプレミス環境下では、どのような課題がありましたか?

西尾:さまざまな課題がありましたが、まず第一に運用の手間がかかりました。例えばサーバーに不具合が生じた場合、急ぎであれば時間帯に関わらず職員がデータセンターまで直行し、メンテナンスをする必要がありました。

次に、リードタイムの長さも問題でした。サーバーの容量が足りない、通信速度が遅い際には、サーバー台数を増やすスケールアウトや、パフォーマンスを上げるためのスケールアップが必要になります。オンプレミス環境下では、実物の機材を購入して最適化するまで2〜3ヶ月かかることもあり、スピード感を損なうものでした。

しかし、AWS環境下では、数分でクラウド上にサーバーを設置することが可能で、スケールアップ・スケールアウトも柔軟に対応できます。オンプレミスで課題となっていた「運用に手間と時間を要する、高コスト、拡張性が低い」などといった問題を全て解消できるのがAWSでした。

ー AWS移行は、具体的にどのように進められているのでしょうか?

西尾:まずは、現在稼働している全システムの把握やサーバーがどこに何台あるかといった「事前調査」から始めました。そして、洗い出した案件を難易度別にグループ分けをし、それぞれ移行手順を作ります。事前調査や計画を終えると、今度は各業務チームと話し合いを重ねながら具体的な移行内容を細かく決定していきます。

事前調査や計画、AWSのクラウド基盤を整える作業など、約4ヶ月間の準備期間を経て、ようやくAWS環境への移行が始まるのです。AWSへ移行するもの、廃止するもの、新たに作り直すものへ分類した上で、移行が必要なシステムのうち約7割まで移行を完了しました。

現在は、残り約3割の移行を今年の秋頃までに完了するために、最後の追い込みをしている最中です。

アジャイル型と仲間とのコミュニケーションがプロジェクト推進のカギ

ー プロジェクト開始から丸2年経過しました。その過程で特に苦労されたことを教えてください。

西尾:AWSへ移行する前段階の、事前調査には非常に苦労しましたね。

コープさっぽろのサーバーは約700台、システムは約230と膨大です。中には各業務チームでさえ把握できていないような、古いシステムも多数残っていました。それらを全て特定し、管理しやすいようにシステム台帳に一覧化するなど、移行前の「土台づくり」が一番大変でした。

ー AWS移行を円滑に進めるにあたり、工夫されたポイントはありますか?

西尾:初めてのクラウド環境への移行だったため、全ての工程を試行錯誤しながら進めていましたが、特に心がけていたのは「準備をしすぎない」ことです。

ある程度計画が固まった段階で試してみて、不具合があれば開発の途中で修正する。いわゆる「アジャイル型」に近い方法を採用し、作りながら改善していくことで、短い準備期間でスピード感を持った移行を意識しました。

しっかり計画を練って実行する方が安心感はありますが、その分作り直しなどがあればダメージも大きく、さらに時間も要します。開発方法は今現在も改良していて、1ヶ月前の手順より今の手順の方がより良くなるようにと、常にベストな方法を模索し続けています。

ー 多くの職員が関わるプロジェクトを推進するために、西尾さんご自身が心がけていたことはありますか?

AWS移行に重要なのはヒアリングです。そして、ヒアリングした内容を展開するためには、AWSに詳しい職員としっかり議論して方針を固める必要があります。メンバーを巻き込み、チームとして同じ方向へ進むために、職員とは業務に限らず日頃からいろいろな話をするよう心がけていました。

そして、「私はこういう人間なんだ」という自己開示はもちろん、仲間の話を聞きひととなりを知ることで、仕事に対する熱意ややりたいことを理解するように努めました。

慣れないアジャイル型で、その都度関係者からヒアリングしながら移行を進めるのは容易ではありません。しかし、たくさんの方の力を借りながら、互いに尊重し合い、同じ方向を向いて仕事を進められたことが成功の秘訣だと思っています。

コープさっぽろのアベンジャーズ集団!?互いに高めあう環境で得られるやりがい

ー プロジェクトを通して、やりがいを感じたことを教えてください。

西尾:コープさっぽろには、「AWS Samurai」と呼ばれる、AWSクラウドの認知向上やコミュニティ活動に貢献した人のみに与えられる称号を持ったメンバーが3名います。

影響力のあるAWS Samuraiが「アベンジャーズ」的に1つの場所に集まり、一からプロジェクトを立ち上げて進めるのは、全国的にも珍しい活動だと思います。そのような貴重な環境で、新しい知識や技術を吸収しながら一緒に仕事ができることに、私自身も非常にやりがいを感じています。

チームとしても、AWSに明るいメンバーと業務に精通したメンバーが、情報やアイディアを持ち寄りながらお互いに無いものを補完し合い、共に成長できる良い循環が生まれました。

加えて、AWS移行によってもたらされるメリットを、リアルタイムで感じられているのも嬉しいですね。例えば、オンプレミスからクラウドに移行してから、職員がデータセンターへ直行したり夜遅くに作業したりする回数が格段に減っています。

職員の働き方の変化など、AWS移行に取り組むことよる成果を身を持って実感できていることもやりがいの一つです。

「できるものから進めていく」コープさっぽろ流の前倒し仕事術で、AWSの最適化を目指す

ー AWS移行はまだ進行中ですが、今後の展望を教えてください。

西尾:現在進行しているAWS移行を、より良い形で完遂することが目下の目標です。

移行完了後には、AWS環境の最適化を目指していきます。具体的には、AWSが提供する様々なサービスやAWS環境と親和性の高いSaaSを活用しながら障害が起こる前に気付く仕組みを作るなど、人の手を介すことなく未然にシステムトラブルを防ぎ復旧するようなプラットフォームを構築します。

そして、職員の負担を軽減し、その分新たな仕事に取り組める環境を提供することが、我々インフラチームのミッションだと考えています。

ー 長い時間を要するプロジェクトですが、具体的な期限は決めていますか?

西尾:AWS最適化のための業務は、あまり期限を設けず、準備ができたものから順次拡大していきたいと考えています。期限を決めてしまうと、場合によってはその期間の中でじっくり時間をかけてやってしまいがちです。しかし2020年のDX推進以来、コープさっぽろでは「準備ができたものは前倒しで進める」という姿勢を大切にしています。

「できるものからどんどん進めていく」。コープさっぽろに根付いているこの姿勢を大切にしながら、職員と協力してAWS環境への移行と最適化を成功させたいと考えています。

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今まさに進行中の「AWS移行」プロジェクト。クラウド環境でのシステム利用が実現すれば、組合員さんの豊かな生活を支えるための更なる仕組みづくりにも繋がります。コープさっぽろでは、一緒にその未来に向かってくれる仲間をいつでもお待ちしています!

\コープさっぽろでは、一緒に働く仲間を募集しています/