業務改善のヒントを見つけて、各部署に持ち帰るためのデジタル勉強会
コープさっぽろでは、2021年より職員のデジタルリテラシー向上を目指して「デジタル勉強会」を開催しています。各部署のデジタル推進リーダーに参加してもらい、学んだことを持ち帰って業務改善に役立ててもらうことが狙いです。
勉強会立ち上げから2年が経過し、ツールの活用や内製化によって作業時間の短縮だけでなく、ボトムアップで「ITの民主化」が実現しつつあります。勉強会の内容や目指していることなどを、デジタル推進本部 システム部の林剛央さんと瀬戸田慎一さんに伺いました。
デジタルツールを広めるために勉強会を開始
ー デジタル勉強会は2021年から始まったそうですが、どのような経緯で開催が決まったのでしょうか。
林:2020年度にデジタル推進本部が立ち上がり、Google Workspace(旧称 G Suite)やSlackの使い方を説明する勉強会を行いました。その流れで、コープに合ったデジタルツールをどんどん広めていこうと思い、Googleスプレッドシート(以下スプレッドシート)やSlackを使ってできることを学べるデジタル勉強会を定期的に開催することになりました。
ー 勉強会の人数や頻度、1回あたりの時間はどのくらいでしょうか?
林:昨年はコロナの影響もあり、Google Meetで資料を共有しながら話す形で、月1回リモート開催をしていました。今年は実際に体験してもらえるコンテンツを作って、対面参加を推奨し、頻度も月2~3回に増やしました。現在は当日の対面参加者10~20人ほどに加えて、オンラインの参加者もいます。
1回あたりの時間は1時間から1時間半ほど。去年は年間で1クールでしたが、今年は半年間での勉強会全テーマの網羅や参加機会の拡大を狙って、半期で1クールを回すようにしました。上期1回、下期1回で、参加者を変えて同じ内容を教えています。
ー 講師はどなたが担当していますか? また、テーマの決め方も教えてください。
林:講師は瀬戸田さん、同じ部署の沖田さん、私の3人が持ち回りで担当していますが、最近は瀬戸田さんが講師をすることが多いですね。主に私が開催の目的やスケジュールのアナウンスを行い、瀬戸田さんが当日の講師を担当し、沖田さんが体験用のコンテンツや資料を用意しています。
全体のテーマはコープさっぽろに合いそうなものを話し合って決めますが、毎回の細かい内容はその都度考えています。業務改善につながるツールや、最近利用が増えているツールを紹介することが多いですね。
瀬戸田:「事業部が自走できるものを」という観点でテーマを選ぶようにしています。私はコンピュータサイエンスを学んできたプログラマーですが、同じシステム部でも林さんはそうではありません。バックグラウンドが異なる二人で作戦を練りながら、「どうしたら事業部の人たちの武器になるものを渡せるか」を考えてテーマを設計しています。
業務改善のヒントを持ち帰ってもらえるように
ー これまでどのようなテーマの講座が実施されてきたのでしょうか?
瀬戸田:まずはスプレッドシートですね。Excelの代替品だと思っている方も少なくないかもしれませんが、Excelにできなくてスプレッドシートにできることはかなり多いので、あまり知られていない便利な機能や、他のツールと連携することによってできることなどを伝えました。ノーコードツールのAppSheetに関する講座なども行いました。
参加者には、なるべくたくさん実際にツールに触れてもらうことで、その体験から生まれたインスピレーションを形にしてもらいたいと考えています。組織全体、つまり1万5000人の職員のデジタルリテラシーの底上げをすることが狙いですね。
ー 特に反響が大きかったテーマはありましたか?
林:スプレッドシートの小技がヒットしましたね。事業部が実際に使っている事例も伝えたのですが、やはり身近な業務にすぐ取り入れられて、役に立つものが一番反響が大きいですね。
瀬戸田:私は「何か作りたいものがあれば一緒に作ります」と公言してデジタル改善相談を受け付けているので、その相談があること自体が反響ですよね。相談は週に1回、1時間の枠を設けているのですが、今のところ新規の相談の予約が10日待ちの状況で、思っていた以上に需要があります。
コープさっぽろには、理事長の前で実際に行った業務改善を報告する仕事改革発表会という場があるのですが、デジタル勉強会やデジタル改善相談が役立った事例がたくさん紹介されて、嬉しく思っています。
ー 勉強会の運営で工夫されている点はありますか?
林:単にツールの使い方を覚えてもらうのではなく、それぞれのツールの得意なこと・不得意なことを知ってもらい、業務改善のヒントを持ち帰ってもらいたいと思って、毎回伝えています。
瀬戸田:一番意識しているのは「すべて覚えなくてもいい」ということですね。覚えて帰らなければならない、と思うと疲れてしまいますから。たとえば、スポーツは練習しないでいると体がなまるけれど、ルールはなんとなく覚えているものでしょう?
勉強会もそれと同じです。できることを覚えて、できないことは得意な人に任せたっていいんです。勉強会では、話し方を明るくしたり、やり方を覚える必要はないからとにかく触ってみようと気楽な雰囲気を作ったりして、障壁をできるだけ下げるように意識しています。
少しずつ、でも着実に「ITの民主化」を実現
ー 参加者の意識と行動を変えていくことは簡単ではないと思いますが、苦労されていることや工夫していることがあれば教えてください。
瀬戸田:みなさん忙しいので、そもそも参加してもらうことが難しいですね。中には言われたから仕方なく来たという人もいるかもしれませんが、まずはそこを入り口にして、どうやったら楽しく取り組んでもらえるかを意識しながら勉強会を行うようにしています。
事業部の資産である業務データを扱う道具を自分たちで作れるようになると外注費の大幅な削減にも繋がりますし、それがスローガンでもある「ITの民主化」に近づくことだと思うので。
林:たくさんの人に参加してほしいと思ってしまいますが、大きな組織なので、慌てすぎないように意識しています。
「2:6:2の法則」といわれるように、初期段階で興味を持ってしっかりと学んでくれる人は全体の2割程度だと思うので、その人たちをきちんと褒める取り組みも重要だと思っています。その2割の人たちに継続してもらえれば、残りの人たちにも少しずつ広がっていきますから。
ー 褒めることを大事にしているとのことですが、その理由をもう少しお聞かせください。
瀬戸田:新しいチャレンジに対して、みんなで褒めることでモチベーションを上げて、次へつなげていきたいという思いがあります。
それを繰り返すことで、デジタル勉強会の参加者を増やし、DXに前向きに取り組む人が増えていくようなムーブメントを起こしたいですね。
現時点では、勉強会で取り扱う内容をレベルアップすることよりも、全体に広めていくことを重視していますが、それでも結構レベルの高いことをやっていると自負しています。気づかずに高度なものに触れられる形が理想ですね。職員ひとりひとりの発想の可能性を広げ、使えるカードを増やしてもらうことが、組織全体のアップデートにつながると信じています。
ー 最後に今後に向けたメッセージをお願いします。
瀬戸田:デジタル改善相談は私が自主的に始めた、ボトムアップの活動です。自分が始めたものが形になって、体制もできてきたので、今後もいろいろな事業部に伝播して続いていくといいなと思います。
デジタル推進本部が推進するコープさっぽろのDXに、15,000人の職員全体のデジタルリテラシーの底上げは必要不可欠です。誰も置いてけぼりにしないよう、これからもデジタル勉強会やデジタル改善相談を通して現場の下支えをしていきたいと思っています。
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デジタル勉強会は回数を重ねるごとにブラッシュアップされて、より充実したスキルアップの機会を得られるようになっています。新しいものを積極的に取り入れ、より良い組織を作っていこうとするコープさっぽろでは、一緒に未来を見据えて働ける仲間をお待ちしています!
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