XをするためのDがDXだと理解した(niku)
このサイトの名前の一部でもある、DX(Digital Transformation)はどういうものを指しているのかよくわかりません。みなさんは説明できそうでしょうか?日本では経済産業省による https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004.html の資料を一次(?)情報として扱ってよさそうで、そこにある目次込みでわずか9ページのPDF、さらに今回は厳選して「はじめに」の3ページからDXの雰囲気を掴んだので紹介します。
ページ下部にある「DX推進ガイドライン Ver. 1.0」というPDFがそれです。ここから抜粋、それに対する感想を続いて書きます。
DXについて他の人と話すときの、今後の私の基本姿勢
ここで私が読み取ったDX定義から外れる話題も他の人と話すときには拾っていきたい感じがあります。「あなたの指すそれはDXの定義からは外れるのでここで話す意味がないですね」という感じではなくて、良さそうなものでDXの定義に含まれないものというのは当然沢山あるわけですよ。それに誰かが新しくDXという名前をつけて訴えていくなら、それもまたDXだねという気持ちでいたいですし、たとえそれが既存のDXの定義から外れそうなものだとしても、その訴えの後ろにある何かを良くしたい気持ちを受け取っていきたいです。
ただプログラミングの歴史でテストという言葉をみんなが様々な意味を持たせて使ってしまったために「あなたが今話しているテストって言葉は、この意味で使っていますよね?」という確認の儀式をほぼ毎回する必要があるのと同じことがDXにも起きそうだなあという雰囲気は感じます。そのうちDXをある軸に沿って分類してみるというのが起きるかもしれませんね。(興味がある人はテストの四象限についてググってみてください。一口にテストと呼んでいるものを直交する2つの軸で4分類したものが出てきます)
DXの定義
DXの定義は次のとおりとする。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
はい、1ページ目にいきなり私が知りたいことが書いてありました。よくできていて、すべての文言に着目したくなるところですが、できるだけ注目ポイントを絞って3つあげてみます。
DXは「競争上の優位性を確立」するためにある、なるほど。企業活動で競争優位を確立するための活動(かなりの活動がそれに当てはまるとは思います)は「これをやることで、どんな競争優位が生まれそうか」という疑問には答えられるようになっていることが望ましいですが、DXも例外ではないのですね。
DXにおける変革の対象は2つある、1つは製品やサービス、ビジネスモデル、もう1つは業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土。前者は多くの場合期待されていそうですが、自分たちのあり方や考え方がDXで変える対象として明記されているというところに私は注目しました。
DXは「データとデジタル技術を活用」する。上の内容とも少し関連しますがここでの活用というのは、人間がデータを使うというだけでなく、データから導き出されたものに人間が合わせていく、データやデジタル技術に使われて自身の行動を変容させることを人間が受けいれるということなのかなあと勝手に思っています。またデータを活用するためには、データが活用可能な場所に流通していないとならないですよね。現在の業務に必要なデータは当然その場所には届いているとは思いますが、そのデータを今後別な物事に使おうとしたとき、すぐに別の場所でも活用可能な形になっているでしょうか?自分たちの資産であるデータの入手容易性、利用容易性というのは企業のDXを推進する上で大きな壁となっているかもしれないと感じます。個人の感想ですがインターネットをバックグラウンドとする企業だと、そこの障壁が低くて有利なことが多いかもしれません。
私なりのDXはこれだ!
ここまで読んだことをふまえて、DXの定義を私の言葉で書くと以下のようになりました。私にはXのほう(?)である組織の変革が過去より続いている普遍的なものであり、現代その大きな変化を担いうる要素としてのDがあるという構造になっているように見えました。
「組織の目的に今後も近づき続けるためにこれまでの価値観を変えることも厭わない取り組み。特に現代でこれまでの価値観ややり方を大きく変えうるものとしてのデータとデジタル技術を活用するもの。」
組織にはそれぞれ究極の目的というのがあるはずで、それはよくビジョンやミッションという形で掲げられていたりします。そのビジョンやミッションに近づき続けるためには組織として生き続ける必要があり、組織として生き続けるためにはその組織に人を抱えておくために経済的に生き続ける必要があり、経済的に生き続けるためには競争上の優位性を確立する必要があるわけです。つまり何のために競争上の優位性を確立するかというとずっと組織の究極の目的に近づき続けるためです。その目的を追いかけていくうちに、ブレイクダウンされた一時的な目標というのが生まれてきます。それはある特定の状況ではうまく作用するため、いつしかそれが文化や風土、業務プロセスとなっていたかもしれません。しかし状況が変化したときには究極の目標に近づくことに寄与しなくなるかもしれません。そのときにこれまで一時的に役立っていた個別目標やそれを追いかけるために適していた価値観を捨て、組織が存続している理由である究極の目標に近づき続けるためのやり方を模索しなおすというのがDXというキーワードでやりたいことなのかもしれません。
DXとPoC(Proof of Concept)相性悪そう
PoC(Proof of Concept:概念実証、新しいプロジェクト全体を作り上げる前に実施する戦略仮説・コンセプトの検証工程)を繰り返す等、ある程度の投資は行われるものの実際のビジネス変革には繋がっていないという状況が多くの企業に見られる現状と考えられる。
ビジネス変革がDXの目的だと考えると、DXのPoCを何回もしてしまう、つまり何回かうまくいかない理由も想像できてきました。既存のビジネスや価値観を変えるという大きなリソースを必要とする取り組みを、少ないリソースで方向性を確かめるのに向いたPoCという手法で行うということが難しいせいなのではないでしょうか。仮に「デジタル化の有用性を検証する」なら少ないリソースでも取り組むことができるかもしれませんよね。Dがついているせいで私はDXのことを勘違いしていたかもしれません。
DXを実現していく上では、デジタル技術を活用してビジネスをどのように変革するかについての経営戦略や経営者による強いコミットメント、それを実行する上でのマインドセットの変革を含めた企業組織内の仕組みや体制の構築等が不可欠である。
このあたりに書かれている、経営陣が本気でビジネス変革に取り組むことが不可欠であるというあたりがまさに多きなリソースを必要とするという証左ではないでしょうか。
コープさっぽろでのDXはどうだろうね?
経営層が継続的にビジネス変革にリソースを投入する強い意志を持っているかについて、私からはそう見えます。むこう数か月で私が取り組んでいるあたりの領域に10人以上の採用が決まっています。人をたくさん採用するというのは大変なことだし強い意志の現れとみてよさそうですよね。
またこの領域の責任者である執行役員のツシマさんはこんな記事を書いていました。ここではまさしくデジタルの力で既存のビジネスをさらに良くしていきたいという気持ちが読み取れますね。
まとめ
日本のDXの一次資料として経済産業省のPDFがあるので、それを眺めた感想を書きました。特に私が感じたのは組織変革という過去から連綿と続く普遍的な目的があり、データとデジタルはこの時代のゲームチェンジャーとして組織変革のおおきな要素を占めそうなので、それをXとDという言葉に乗せたのだなあというものです。データとデジタルという軽量なリソースのみの利用を目的に見立ててしまうと、組織変革にかかる大きなリソースを出す覚悟がそろわず最初はうまくいかないかもしれないという意見になりました。それを踏まえて我らが組織であるコープさっぽろを眺めると最初から本気だった!