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「ホストオープン化」で変わったのはシステムだけじゃない!オープン化が職場にもたらしたもの

2023年3月、10年以上の歳月をかけてコープさっぽろの「ホストオープン化」が完了しました。システムの乗り換えだけに留まらず、職場の雰囲気もオープン化され、働く職員たちにとってもさまざまな変化が生まれたといいます。

巨大なプロジェクトを中心となって動かしたデジタル推進本部システム部の加賀見義宣さん、坂崎信行さん、木村敏朗さん、松田稔さんの4名に、ホストオープン化の経緯、それぞれの視点での学びや発見、そして今後の展望などを伺いました。

左から坂崎さん、加賀見さん、木村さん、松田さん

最新技術を取り込み、経営に役立つ資産を作るために、ホストオープン化プロジェクトが始動!

ー 「ホストオープン化」とはどのようなプロジェクトだったのでしょうか。

加賀見:もともとコープさっぽろのすべての業務システムは、ホストコンピュータと呼ばれる汎用機に集約されていました。ホストオープン化は、その汎用機で構築してきたシステムを、現状の業務に準拠したオープンシステムに乗り換えることを指します。

言うのは簡単ですが、動いているシステムが全業務に渡り、プログラム本数で12,000本、バッチ数でいうと4,000ほどもあったため、巨大なプロジェクトになることは当初(2012年)から想定していましたが、実際に10年以上もかかりました。

ーこのプロジェクトにおける皆さんそれぞれの役割を教えてください。

加賀見:巨大なプロジェクトだったので、業務を切り分けて順番にオープン化に取り組みました。私は最初に宅配事業のオープン化に着手し、途中からは組合管理のオープン化も兼任しました。

▼加賀見さんのコープさっぽろ10年目のnote

松田:私も加賀見さんと同じく、宅配事業のオープン化に携わりました。宅配事業も全部を一度に移したわけではなく、最初にメイン部分を移し、その後に残りの周りのシステムを1つずつ移していく作業でした。

坂崎:宅配事業に続いてオープン化に着手したのが店舗事業です。私と木村さんが店舗の基幹システムのオープン化を担当しました。基幹システムにはコープさっぽろの中心の日々の仕入れや供給などの計数を管理する仕組みも集約されていたので、併せてホストからの切り出しを行いました。

ー 汎用機を用いたシステムは複数業務の並行稼動に優れていると思いますが、どのような課題を解決するためにホストオープン化に踏み切ったのでしょうか?

加賀見:ホストのプログラムはCOBOLというプログラミング言語で動かしていたのですが、古い言語なので最近はCOBOLを理解する技術者が少なくなってしまいました。また、相互運用性がないため、Webで使うような仕掛けを載せられなかったり、リアルタイム処理という点で難しく、最近の技術に合わなくなっていたんです。

そういった背景があり、ホストオープン化によって最新の技術動向を取り込みながら、経営に役立つような資産として運用していくことになりました。

苦労もしたけれど、同じ志を持つ仲間がいたからやり遂げられた

ー 10年がかりのプロジェクトでしたが、特に苦労したことや印象に残っていることを教えてください。

加賀見:ホストオープン化には複数の方法があります。一から自分で作る方法もあるのですが、宅配事業に関しては同じ生協であるコープ東北がすでにオープン化したシステムを持っていたので、それを移行することになりました。

しかし、いざ進めてみると同じ宅配事業でもいろいろな違いがあることがわかりました。コープ東北のシステムは、東北6県の特徴を共通項でまとめたもので、サービス条件として、あまり細かいところまで規定していなかったんです。それに対し、コープさっぽろは組合員さん向けにきめ細やかなサービスを設けたシステムだったので、ミスマッチが多く、カスタマイズが大変でした。

木村:ホストオープン化が長期に渡ったため、途中で消費税の増税や工場建設があり、オープン化を一時中断せざるを得なかった期間もありました。スタッフの契約が途中で切れてしまうこともあり、人の手配にも非常に苦労しました。

加賀見:最後のほうは、どうやったら終わらせられるのか、加賀見個人としては明確な回答が出せずにいました。そんなとき、CIOの長谷川さんが「ホストを提供している富士通さんにプロジェクト管理をお願いしよう」と。これが英断で、最終的には富士通さんの取り仕切りでホストオープン化をやり遂げることができました

ープロジェクトを通じて自分自身が成長したと感じていることはありますか。

坂崎:プロジェクト始動前は私が部内で最年少ということもあり、部下がいませんでした。しかし、プロジェクトが始まると同時に部下ができて、どうしたら部下に同じ方向に向かって進んでもらえるのかと試行錯誤しました。こうしたマネジメントの部分が、プロジェクトを通しての自分自身の一番の成長だと思っています。

木村:プロパー含むスタッフだけでも50人以上、外部からの支援者も含めると100名規模のプロジェクトで、普段会わない人と話す機会も多く、コミュニケーションを通していろいろな刺激を受けました。他部署や外部の人たちと会話することで視野が広がったと思っています。

「ITの民主化」で働く人たちの距離が近づき、どんどんチャレンジができる職場になった

ー ホストオープン化は無事に完了しました。今後はどんなことに取り組んでいきたいですか。

加賀見:僕は長く管理側にいて久しく開発に携わってこなかったので、最新の技術を学びなおして、また開発の仕事に立ち戻りたい気持ちがあります。

坂崎:長谷川さんが新しい技術を持ち込んでくれて、今その技術に触れながら仕事ができています。物流業界ではAWS化の波が小さいですが、物流工場チームを支えてる立場としては、物流業界へのAWSの牽引役を目指していきたいです。

木村:私は今年で定年なんです。1985年に入協して1986年にシステム部に配属になり、まさか定年までずっとシステム部にいるとは思っていませんでした(笑)。ホストがなくなるタイミングで定年を迎えるのは何だか運命を感じます。コープさっぽろもオープン化したので、自分自身も第二の人生をオープン化していきたいと思っています。

長谷川さんがSlackの導入などDXを推進してくれたおかげで、コープさっぽろも変わってきました。今までシステム部は、外から見ると何をやっているのかよくわからない部署で、孤立しがちでした。

しかし、Slackを使い始めて、店舗や宅配の職員が気軽に質問をしてくれるようになり、みなさんにシステム部がどんなことをしているかをわかってもらえるようになってきました。「ITの民主化」で、働くみなさんと距離が近づいたのが一番嬉しかったですね。

▼木村さんのデジタル化へのポジティブな価値観が垣間見れるnote

松田:私はずっと1からプログラムを作ってきたのですが、今はプログラミング不要なツールや、また、AIでもプログラムを作れるようになり、自分で書かなくてもいい時代になってきたので、それらの最新技術も取り入れた開発にシフトしていければと思っています。

ー コープさっぽろで働いてみたいと考えている人へのメッセージをお願いします。

加賀見:ホストオープン化を経て、システム部ではいろいろなことを内製化している途中です。内製化することで直接現場から要件を聞いて、自分たちでリリースできますし、フィードバックの反映も早くなりサイクルが短くなるのがメリットです。

これから入協してくださる方には、スキルを活かして活躍できる環境が整っていますと伝えたいですね。自分で作ったものの成果も見えやすいですし、実際に利用する現場の人から「ありがとう」と言われるのは非常に嬉しく、やりがいを感じられます。また、おおらかで人を受け入れるカルチャーがあるので、とても働きやすいと思います。

木村:コープさっぽろは大きな事業体で、店舗事業、宅配事業、共済事業だけでなく、今も葬儀や移動車販売など事業が増えています。今回のプロジェクトを経て職場もオープン化され、新しく入ってきてくれた人もチャレンジができる部署になってきたと思います。

与えられた仕事をただこなすだけでなく、自分はこういうスキルを持っていて、こういうことをやりたい、こういうふうに変えていきたいと、自分の意見を積極的に言える雰囲気です。向上心のある方にとって、すごくいい環境だと思います。

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ホストオープン化のプロジェクトは完了しましたが、新しい仕組みを使って組合員さんの豊かな生活を支えることが本当のゴールです。コープさっぽろでは、一緒にその未来に向かってくれる仲間をいつでもお待ちしています!